大原

三千院

苔むす庭園に四季折々の自然が美しい門跡寺院

最澄が比叡山に開いた草庵が起源。平安時代末期に門跡寺院となり、鎌倉時代に京都のまちなかへ移転するも、明治維新とともに現在地へ移り定着した。大原の里を望み、緑の絨毯のような杉苔に覆われた池泉回遊式庭園の有清園（ゆうせいえん）と、川が流れる聚碧園（しゅうへきえん）の2つの庭園がある。春のシャクナゲ、初夏のアジサイ、秋の紅葉など、四季折々に表情を変える景観も見事。

有清園
緑の絨毯のように広がる苔と、杉木立や紅葉などの自然が絶妙に調和した池泉回遊式庭園で、作家・井上靖が「東洋の宝石箱」と絶賛したことで知られている。奥には重文・往生極楽院がたたずみ、ほぼ当初のままの内部には国宝・阿弥陀三尊坐像を安置。脇侍の観音・勢至菩薩とあわせて弥陀の来迎を表現したものと伝わり、この黄金色の三尊は藤原時代の貴重な遺産といわれている。
往生極楽院
三間四方の単層、入母屋造の柿葺で平安時代末期に建立。内部の天井は舟底形になっていて、本尊の後壁の両界曼荼羅や壁の三千仏、天井の飛天のくすんだ彩色から、当時は極彩色であったと考えられている。
あじさい苑
往生極楽院の東側山手にあるあじさい苑。小紫陽花や星紫陽花など約3000本のあじさいが植えられ、毎年6月中旬～7月初旬に開花を迎える。
聚碧園
江戸時代の茶人・金森宗和が自然の美しさに感銘を受けて手を加えた庭園で、園内を流れる川の水源は音無しの滝。鳥のさえずりや木々の揺れる音が耳に心地よく、優美で静寂な空間となっている。客殿の座敷や縁側から眺めていると、時間が経つのを忘れてしまいそう。
わらべ地蔵
石彫家・杉村孝さんによって作られたわらべ地蔵は、有清園を中心に苔の中から姿を見せるように配されている。手を合わせている、頬杖をついているなどしぐさもさまざまで、やさしい表情に心が洗われる。